Interview

蓮沼執太 ✕ 佐々木敦

Shuta Hasunuma ✕ Atsushi Sasaki

新たに10名のミュージシャンを加えた新編成「フルフィル」の試みについて。“自分で作った曲が、違う感じに跳ね返ってくるのかということが、すごく面白い”ーー『フルフォニー』公演では、このために作った新曲を披露します。

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Session 4

  • 佐々木敦(以下、佐々木):

    『アントロポセン』は7月に出て、1か月後の8月18日にコンサートがあって(https://www.hasunumaphil.com/live/77/)、このコンサートにはメンバー募集で集まった新しい人たちが参加するんだよね。それはどうやってやるの? それはまた、その人たちがリハに入ってやるわけ?

  • 蓮沼執太(以下、蓮沼):

    リハーサルは資生堂ギャラリーでの展覧会の関連イベントとして、公開リハーサルをやりました。

  • 佐々木:

    あー、そのときにはその新メンバーの人たちはいたわけだ。

  • 蓮沼:

    そうですね。でも、音を合わせるのは初めてでしたね。

  • 佐々木:

    はじめまして、みたいな。他のメンバーの人たちは?

  • 蓮沼:

    初めまして、です。

  • 佐々木:

    新しい人たちって、若い人が多いの?

  • 蓮沼:

    年齢はさまざまですね。

  • 佐々木:

    じゃあ結構経験値があることはあるんだ。いろいろやってきた人たち。

  • 蓮沼:

    経験があるという方だけではないですね。

  • 佐々木:

    あ、そうなんだ。

  • 蓮沼:

    若い子もいますよ。大学院に通っている学生もいます。

  • 佐々木:

    じゃあ、この間の公開リハの時に初めて、全員集まって……。

  • 蓮沼:

    公開リハーサルの時に、僕も実際に初めて演奏の音を聴きました。

  • 佐々木:

    あー!本当! やってみてくれって言って。

  • 蓮沼:

    公募の際は、応募要項に「演奏している動画を送ってください」としていたので。

  • 佐々木:

    じゃあ下手するとその時に初めて会ったわけ?

  • 蓮沼:

    2月の草月ホール公演に遊びに来てもらったり、一度お話もしました。

  • 佐々木:

    そのときは別に、音出してもらったりとかはしていないの?

  • 蓮沼:

    面談……。うん、面談というか、「お話しましょう」みたいなのはしましたけど。

  • 佐々木:

    そのときは別に、音出してもらったりとかはしていないの?

  • 蓮沼:

    はい。

  • 佐々木:

    あー、なるほど。

  • 蓮沼:

    気まずいじゃないですか、「音出してください」って言うの。

  • 佐々木:

    気まずくないだろう、むしろ向こうが不安だわ(笑)。

  • 蓮沼:

    いや……、そうかな……(笑)。

  • 佐々木:

    「あれ? 演奏聴いてくれて(生で聴いてないのに)、何かOKになったけど大丈夫なのかな……」って。

  • 蓮沼:

    (笑)。

  • 佐々木:

    で、やってみてどうだったの?

  • 蓮沼:

    とりあえず1曲新曲をやりました。練習日は2日あったんですね。その2日目が公開リハでフィルのメンバーも来ることになっていて。1日目はその「フルフィル」の新メンバー「フル」の方のみで。

  • 佐々木:

    「フィル」と「フル」。

  • 蓮沼:

    そう、「フィル」と「フル」。「フル」のみんなと音を出していき、1曲をずっと繰り返し練習を重ねて、なんとか形になっていき。

  • 佐々木:

    何かをつかみかかっていって。

  • 蓮沼:

    僕と「フル」メンバーだけで楽曲になっているように編曲してあるんですね。

  • 佐々木:

    うん。

  • 蓮沼:

    その曲は、「フィル」だけの演奏としても成立するように編曲してるんです。

  • 佐々木:

    ああ! そうなんだ! で、それ合体だ。

  • 蓮沼:

    なので「フル」と「フィル」を合体させると、1曲になるようになっています。

  • 佐々木:

    ああ、そうなんだ。じゃあ「フル」だけバージョンもあるわけだ。

  • 蓮沼:

    できます。

  • 佐々木:

    へー。

  • 蓮沼:

    初日を終えて、「フル」の音が出来上がってきて、2日目に「フィル」メンバーが来るでしょう。

  • 佐々木:

    うん。

  • 蓮沼:

    全然違うんですよね…

  • 佐々木:

    (笑)

  • 蓮沼:

    当たり前なんですけど、音の立ち上がりが全然違うんですね。とても面白くて。

  • 佐々木:

    「あー、こうなるか」みたいな感じ。

  • 蓮沼:

    「フィル」ではすでに「フィル」の音が出来上がっているんですよね。メンバーそれぞれが自分の音を出してくるんですね。

  • 佐々木:

    でもやっぱりそこで干渉が起きるっていうのは、結構面白いことではあるよね。

  • 蓮沼:

    そう。

  • 佐々木:

    違った感じに聴こえてくるよね、きっと。

  • 蓮沼:

    その通り。自分で作った曲が、まあ、こうも違う感じに跳ね返ってくるのかということが、すごく面白い。

  • 佐々木:

    まさに同じ曲でもってことだよね。それは面白いですね。ああ、面白いね、それはね。

  • 蓮沼:

    僕は普段どうしても一人で音楽を作っているから、自分の音が自分自身なんですね。

  • 佐々木:

    うんうんうん、そうだね。

  • 蓮沼:

    そういう人間性が明らかに音としてリアライズされるので、「フル」と「フィル」のメンバー全員で演奏を一緒にすると、また形が変わるものですよね。

  • 佐々木:

    お互いに馴染むところもあるだろうし、反発するところもあるだろうし。へりがとれたりとか、いろいろするだろうね。

  • 蓮沼:

    変化がとても興味深いです。メンバーの関係性が生むダイナミクスを中心にするよりも、まずは協調性を探る感じというか。

  • 佐々木:

    じゃあ、それをこれから他の曲に関しても、8月に入るとやっていくという感じ?

  • 蓮沼:

    そうですね。でもフィルで作り上げている既存の曲には、あまり入り込める余地がないかもしれません。

  • 佐々木:

    既存の曲は……、と。

  • 蓮沼:

    新曲を書いてますね。

  • 佐々木:

    (笑) また書いてるの?

  • 蓮沼:

    なんというか、新曲……新曲じゃないと無理だと思っていたんですね。

  • 佐々木:

    そうなんだ。新曲じゃないと無理ですよって、分かっていたの?

  • 蓮沼:

    分かっていました。全員で演奏するには、そのメンバー全員の個性を受け止めなくては書けないですね。既存の曲だと、セッションになってしまうんですよね。

  • 佐々木:

    で、新曲をやると。だから8月は、「蓮沼執太フルフィル」になっていて、それは「蓮沼執太フィル」としてのコンサートで、この『アントロポセン』の発表でもありながら、「蓮沼執太フルフィル」のメンバーを入れた新曲の発表もあると。

  • 蓮沼:

    「フルフィル」の新曲もあると、そういう感じです。

  • 佐々木:

    すごいですね。飽くことのない……プロダクティブな。それでついに1曲か2曲、新曲を書いて。

  • 蓮沼:

    そうですね。1曲か2曲……。

  • 佐々木:

    で、(東京へ)来て、リハをやって、8月にコンサートはやると。それが要するにこう、『アントロポセン』というアルバムに関しての、あるロードマップの、一つのまた、あれだよね。

  • 蓮沼:

    そうです。

  • 佐々木:

    最後だよね、ファイナルというか。フィナーレだよね、一個の。それからツアーとかをするんだっけ?

  • 蓮沼:

    「フィル」では、名古屋、大阪とツアーが続きます。

  • 佐々木:

    「フル」は東京だけなんだね。

  • 蓮沼:

    まずは東京での『フルフォニー』公演に向けて制作をしています。

  • 佐々木:

    うん、なるほど。「フル」の人たちは、他の活動をしている人もいるわけだよね、多分。スケジュール調整が、本当に大変じゃない?

  • 蓮沼:

    そうですね。スケジュール調整の大変さは、今に始まったことではないですけど。

  • 佐々木:

    8月18日のために。でも、結構前にもう日にちは決めなきゃならないでしょう? 決めて、とにかくその日だけ空けておいてくれってしないと……。

  • 蓮沼:

    そうです。

  • 佐々木:

    そういう意味でも、何か劇団と似てるよね?

  • 蓮沼:

    似ている部分もあると思うし、集団で作品を制作するプロジェクトでは、スケジュール管理は大切ですよね。

  • 佐々木:

    劇団や演劇も、場所とメンバーや座組みが1年前以上に絶対決まってないといけなくて。

  • 蓮沼:

    そうですね。人間だけのスケジュールではなくて、さまざまなことを事前に決めていかなくてはならないですよね。

  • 佐々木:

    普通のバンドはこんなことないじゃない?

  • 蓮沼:

    ポップスやロックバンドではないですね。

  • 佐々木:

    だから僕も音楽でそういう感じだったから、演劇に関わるようになって、何でこんなに早い時間からやらなきゃならないんだろうって。今でもちょっと思っているけど。

  • 蓮沼:

    ははは(笑)。

  • 佐々木:

    でも、要するにどうしてそうなるかというと、単純に関わってる人間が多いから……。

  • 蓮沼:

    多いから。

  • 佐々木:

    ね、なるわけだよね。だからそれを調整して、だからその日に向けて、今これから、やっていくわけだ。

  • 蓮沼:

    みんなで共有、協調をしていかないと集団では動けませんね。

  • 佐々木:

    そういう機会をつくってのことなので、この先のことは、何となく、ないっていう話なのかもしれないけど……。

  • 蓮沼:

    その先?

  • 佐々木:

    うん。だから8月で『フルフォニー』の公演が終わる。要は『アントロポセン』のフィルが出るよって言っても、蓮沼くんは資生堂ギャラリーでの展示もあったし、6枚組の『windandwindows』(http://www.shutahasunuma.com/windandwindows/)も出したし、いろんなことがあって、他にもいっぱいあったわけだよね。

  • 蓮沼:

    はい。

  • 佐々木:

    人のプロデュースもやっているわけだし。曲を書いたりもしてるわけだし。で、N.Y.へ前に行ってさ、何て言うのかな、要するにその、「N.Y.が拠点です」とか、「どこどこ拠点です」とかってあるけども。

  • 蓮沼:

    うん。

  • 佐々木:

    どういう風になってくかみたいなの。前にゲンロンに来てもらったときにも、結構もう、N.Y.に割といる機会が増えたし、増やしたいというか、そういう感覚があるっていうのを言ってたじゃない? だから、今後も、きっとその…東京に居たりN.Y.居たりって感じになっていくのかなあって思うけど。自分の活動の、何て言うのかな……、「次」みたいな。方向性としては、フィルが一旦一息ついたら今度はどうしていこうというのは、何となくあるんですか?

  • 蓮沼:

    今年の2月にN.Y.のブルックリンにある「Pioneer Works」というスペースで個展(http://www.shutahasunuma.com/compositions_pw/)があって、オープニング・パフォーマンスでU-zhaanと即興演奏をしたんですね。

  • 佐々木:

    ああ、見たよ、ネットで。見た人たちのSNSも。

  • 蓮沼:

    彼と即興を初めてやったんですけど、僕は打楽器やシンセなどを使って演奏したんですね。その感触がすごくよかったので、この辺りから何かを始めめようと思っています。もちろんソロ、というか1人で行うプロジェクトも考えています。

  • 佐々木:

    次の流れとしてはそうだよね。この次は、一人になるよね。

  • 蓮沼:

    一人でしょう、うん。

  • 佐々木:

    この次に、いや、「フィル」とも「フル」とも、「全く違うメンバーで20人編成の」って言ったら、頭おかしい人だよ(笑)。

  • 蓮沼:

    ある意味で頑張り屋さんですね(笑)。

  • 佐々木:

    「どういうことがしたいんだ」みたいな。そういうことだよね。やっぱり今度は1人の作業とか、1人か2人の作業が来るね。

  • 蓮沼:

    そうですね。フルフィル以降に自分と向き合うことが出てくるんでしょうね。

  • 佐々木:

    うん、そうだろうね。そのときには、もちろん『アントロポセン』のプロジェクトで、得たものが当然入って来るから。

  • 蓮沼:

    うん。

  • 佐々木:

    多分……、例えば、16人の「フィル」が、「フル」も入れたら20人近くになっている。で、その20人がそれぞれ1人だということは、同時に同時に20人の中の一人とか、20人に対して、蓮沼くんがやっていて、でもやっぱり蓮沼くんは1人だ、みたいなことが同時にあるわけじゃない?

  • 蓮沼:

    そういうことですね。

  • 佐々木:

    それは裏返すと、やっぱり、ソロとか個人の活動でも、やっぱり1人じゃないんだよね。

  • 蓮沼:

    もちろんそうですね。

  • 佐々木:

    要するに蓮沼くんの中にいっぱいいろんな蓮沼くんがいて。

  • 蓮沼:

    ああ。

  • 佐々木:

    そのいろんな蓮沼くんの中の、蓮沼くんっていうのは、やっぱりこの、出会った、いろんな関わった他者との関係性の中で、出て来ている蓮沼くんA、B、C、D、E、F、Gみたいな感じになっていて。多分ちょっとそれはどんどん増えたり変わったりしていて、だから個人に戻った時に、前の個人活動と、単に同じ続きってわけじゃなくて、間に入っている、他者たちとの仕事っていうのは、やっぱり入って来るよね。

  • 蓮沼:

    当然、入って来るでしょうね。

  • 佐々木:

    入らざるを得ないよね。意識していなくても。

  • 蓮沼:

    うん。

  • 佐々木:

    それがずっとこう、何て言うのかな……。フィードバックされるような形でやってきていたし、これからもやっていくんでしょうね。
    例えば、資生堂ギャラリーの個展もそうだったけど、いわゆるアート的な。つまりいわゆる音楽を演奏してっていうのとアーティストということの、少なくとも2つの領域が、割と二重になっている活動の仕方に、近年は特になっているわけじゃない? それは、多分そういう風に、これからもしていくと思うんだけど、自分の中でもそれは「両方自分だ」みたいな感じなのかな? どっちかが元、みたいな感じなのかな?

  • 蓮沼:

    両方自分ですね。

  • 佐々木:

    もうそういう感覚だよね。

  • 蓮沼:

    以前に、両方は違うって言ってましたかね?

  • 佐々木:

    いやいや、そんなことないよ。ほら、一番最初は、むしろ普通に曲を作っていただけだったから。

  • 蓮沼:

    ああ。

  • 佐々木:

    アートに造詣が深い人間だということは、分かっていたけれども、それがまあ、かなりイーブンな感じに?

  • 蓮沼:

    うん。

  • 佐々木:

    2つのことが、そうなってきたというのがこの数年だよね。

  • 蓮沼:

    そうですよね。

  • 佐々木:

    作曲家として、例えばオーケストラの曲を書くとか、そういうもあり得るじゃない?

  • 蓮沼:

    機会はないですけどね。

  • 佐々木:

    うん。でも、頼まれたら書くでしょう?

  • 蓮沼:

    頼まれたら書きますけど。

  • 佐々木:

    そういうのも面白いような気もするけど。

  • 蓮沼:

    もちろん、面白そうですね。やったことがないですから。でも、そんなオファーがあるのかっていう。

  • 佐々木:

    委嘱はあるんじゃない? でもなんか今、そういうオーケストラみたいなのがどうやって成立しているのか、謎な部分もあるんだよね。

  • 蓮沼:

    とても謎です。活動を続けていくのは大変でもあるし、海外でもいろいろな形態での運営方法がありますよね。

  • 佐々木:

    らしいよね。それこそ維持が大変でさ。海外なんてなかなか行けないしさ、その辺はやっぱりあるかもしれない。

  • 蓮沼:

    でも、作曲の仕事というのは、この蓮沼フィルでも多くの勉強させてもらっている気持ちです。

  • 佐々木:

    蓮沼フィルでの移動とかは、どうしてるの?

  • 蓮沼:

    移動?

  • 佐々木:

    みんなバラバラに移動しているの?

  • 蓮沼:

    いや、基本的に一緒です! この間「森・道・市場2018」に行ったときは車で行きましたけどね。会場が愛知県の蒲郡だったので。

  • 佐々木:

    何台かに分乗していくわけ?

  • 蓮沼:

    そうですね。大阪であれば、新幹線を使っていきますよ!

  • 佐々木:

    大阪は新幹線の方が、楽は楽だよね。

  • 蓮沼:

    みんなほら、メンバー全員が20代というわけではないですから。

  • 佐々木:

    そうだよね……。いやだからさ、前さ、2005年に渋谷でドゲーテ・インスティトゥート東京の依頼で、「日本におけるドイツ2005/2006」の一環というので、ドイツのポップ・エレクトロニック・ミュージックのフェスティバルをHEADZでやったの。(http://www.faderbyheadz.com/event/soundzfromgermany/)そのときに、20から30人くらいドイツ人が来ちゃって。

  • 蓮沼:

    海外から、その数のミュージシャンをよく呼びましたね。

  • 佐々木:

    まあ、呼ばなきゃならなくて。その、ゲーテ・インスティトゥート東京との関係性で。で、呼んでさ、来てさ、その公演が大阪もあったんだよね(笑)

  • 蓮沼:

    すごいな、2公演(笑)。

  • 佐々木:

    だから新幹線で移動するんだけど、新幹線で移動させるのも大変だった。

  • 蓮沼:

    それは、そうですよ。言語の壁もあるだろうし。

  • 佐々木:

    そんなにいっぱい居たら誰が誰だか分からないし、1人くらいいなくても分からないような状況で。とにかくそれぞれのバンドの人たちが、自分のバンドのメンバーは全員いるってことをとにかくちゃんと分かっていてくれないと(笑)。新幹線乗り遅れたら大変だから。あれは大変だったよね(笑)。だから、やっぱり難しいよね。移動にはバスとか車とか新幹線とか、いろんな選択肢があるんだけど、どれも一長一短というか。

  • 蓮沼:

    そうですね(笑)。楽だから良いということでもないですね。

  • 佐々木:

    決して、ベストの答えではない、みたいなものがあるもんね。

  • 蓮沼:

    うん。

  • 佐々木:

    いや、でも本当にね、フィルが4年半ぶりだったのだと。実は僕、それを資料で初めて知って。「ああ、それだけ時間が経ったんだ」って思ったけど。あの、多分、サードアルバムといわれるものも、きっと、いつかあるんでしょうね。それが何年後なのかというのも、本当にわからないけれども。

  • 蓮沼:

    あるかもしれないですし、すぐに制作に取り掛かるかもしれませんよ。

  • 佐々木:

    で、蓮沼くんは蓮沼くんで動いて。僕が蓮沼くんと出会ってから10年以上経つわけで。10年以上経っていても、こうやって話をしてるとさ、見た感じもそう、変わるわけじゃないし。

  • 蓮沼:

    見た目(笑)。

  • 佐々木:

    だけど、急に、変わっていくわけじゃない?

  • 蓮沼:

    はい。

  • 佐々木:

    だから、10年後はあるわけで。10年後だと40代でしょう? だから、僕だって60ぐらい、60歳になっちゃうから。その頃もう死んでるかもしれないけど。そういうことの中で、フィルというものは蓮沼執太という人の活動の中で持っている意味はすごく大きいので、多分きっと『アントロポセン』が終わるときには、これで一回終わりだなって当然感じるんだって思うけど。あの、3枚目とかって、きっといつかあるんでしょうね。

  • 蓮沼:

    あるといいですよね。

  • 佐々木:

    ね、そうだよね。

  • 蓮沼:

    元気なうちに。

  • 佐々木:

    そう、メンバー自身も年取っていったりしながらね、いぶし銀の様な味を出して……。

  • 蓮沼:

    (笑)。

  • 佐々木:

    あるとき、突然「今回のフィルでは、誰々さんが卒業されます」とか、「誰々さんが他界されました」とか(笑)。

  • 蓮沼:

    あったら嫌だなあ。でも、その時その時で人間は変わっていくし、一緒に音楽ができたら、それはそれで魅力的ですよね。

終了

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